2018年7月26日木曜日

呼び寄せ高齢者~遠距離介護とまちのでんきや~


 お得意様の渡部さん(仮名)。

 仕事の後、雑談でこんなことを。

 「家電をいろいろ買ってあげたいんだけど、横浜の長男がここ(横浜)に来ないかっていうもんで…。」

 

 それも、だいぶん前から言われているようなのですが、決断することができず、今日まできています。

 NHKクローズアップ現代で、こんな特集が。

 ふるさとの親どう支える? ~広がる”呼び寄せ高齢者”~(NHK・2016年6月20日放送)

 『呼び寄せ高齢者』というキーワードがあるんですね。

 

 渡部さんの件が、まさに『呼び寄せ』です(まだ引っ越されてはいませんが)。

 サイトを読むと、いろいろ考えます(以下サイトを参考に)。

 特に首都圏は、75歳以上の転入人口が急増しているとのことで。

 その年齢で、住み慣れた故郷を離れるのは、さぞ決断がいることでしょう。

 

 (番組で)永峯治子さん(81歳)は、北海道から東京の町田市へ賃貸マンションの見学へ。

 治子さん「札幌とは全然違いますね。」

 それはそうでしょう。

 娘の久深さん(57)「いざというときにすぐに行けないのが心配です。近くにいるとすぐに見に行ける。」

 

 治子さん「離れがたいのはやまやまだが、見てもらわないと…」といいながらも、呼び寄せに応じるか、迷っておられるようです(その後、どうされたのでしょうか)。

 また、別のケースでは、『遠距離介護』から脱出したくて、ついに『呼び寄せ』た事例も。

 神奈川県横浜市在住の迫田美代子さんは、4年前まで千葉県松戸市に住んでいました。

 娘の益美さんは、介護のため、週2回、往復2時間かけて、実家に通っていました。

 

 が、コドモの学校のことなどもあり、忙しさはピークに。

 ついには『呼び寄せ』を決断されたとのこと。

 ところが、母の美代子さんは、それまでお茶を飲みながら、世間話をされ、楽しんでいた生活が一転、一日ほとんど会話もしゃべることもない生活が辛く、精神安定剤に頼ることも。

 

 クローズアップ現代のケーススタディでは、呼び寄せを実現したことで、かえって認知症が進行したケースも紹介しています。

 お得意様の渡部さんは、90歳を過ぎていますが、姿勢も良く、会話も普通にでき、元気でいらっしゃいます。

 ご近所の方とも仲良くされていますが、やはりそこは親が心配とのことで、横浜のご長男が『呼び寄せ』を試みているとのことですが、決断に至らず。

 

 渡部さん「でんきやさん、これ見てもらえるかしら。」

 それは、宅配の再配達案内でした。

 電話番号をダイヤルするのですが、最後に※印のボタンを押すことが理解できず、再配達がこないとのことで。

 まちのでんきやが代わりに電話してさしあげました。

 
 
 宅配屋さんは、すぐにきてくれました。

 渡部さん「あぁ、よかった、ありがとね、でんきやさん。」

 
 
 物干し竿の補修に出動したことも。

 家電の用件のついでではなく、これが目的で。

 
 
 渡部さん「すっかりよくなりました。ありがとうございます。」

 そして、いつものように世間話を。

 

 お茶とコーヒーをご馳走していただきました。
 
 ありがとうございます。

 家電よりも、物干しよりも、世間話が目的といえなくもありません。

 もしかしたら、呼び寄せに応じず、住み慣れた土地で一人でも生活が持続できる要因の何分の一かに、まちのでんきやの存在が…。

 あるかもしれません。