お得意様の渡部さん(仮名)。
仕事の後、雑談でこんなことを。
「家電をいろいろ買ってあげたいんだけど、横浜の長男がここ(横浜)に来ないかっていうもんで…。」
それも、だいぶん前から言われているようなのですが、決断することができず、今日まできています。
NHKクローズアップ現代で、こんな特集が。
ふるさとの親どう支える? ~広がる”呼び寄せ高齢者”~(NHK・2016年6月20日放送)
『呼び寄せ高齢者』というキーワードがあるんですね。
渡部さんの件が、まさに『呼び寄せ』です(まだ引っ越されてはいませんが)。
サイトを読むと、いろいろ考えます(以下サイトを参考に)。
特に首都圏は、75歳以上の転入人口が急増しているとのことで。
その年齢で、住み慣れた故郷を離れるのは、さぞ決断がいることでしょう。
(番組で)永峯治子さん(81歳)は、北海道から東京の町田市へ賃貸マンションの見学へ。
治子さん「札幌とは全然違いますね。」
それはそうでしょう。
娘の久深さん(57)「いざというときにすぐに行けないのが心配です。近くにいるとすぐに見に行ける。」
また、別のケースでは、『遠距離介護』から脱出したくて、ついに『呼び寄せ』た事例も。
神奈川県横浜市在住の迫田美代子さんは、4年前まで千葉県松戸市に住んでいました。
娘の益美さんは、介護のため、週2回、往復2時間かけて、実家に通っていました。
が、コドモの学校のことなどもあり、忙しさはピークに。
ついには『呼び寄せ』を決断されたとのこと。
ところが、母の美代子さんは、それまでお茶を飲みながら、世間話をされ、楽しんでいた生活が一転、一日ほとんど会話もしゃべることもない生活が辛く、精神安定剤に頼ることも。
お得意様の渡部さんは、90歳を過ぎていますが、姿勢も良く、会話も普通にでき、元気でいらっしゃいます。
ご近所の方とも仲良くされていますが、やはりそこは親が心配とのことで、横浜のご長男が『呼び寄せ』を試みているとのことですが、決断に至らず。
渡部さん「でんきやさん、これ見てもらえるかしら。」
それは、宅配の再配達案内でした。
電話番号をダイヤルするのですが、最後に※印のボタンを押すことが理解できず、再配達がこないとのことで。
まちのでんきやが代わりに電話してさしあげました。
宅配屋さんは、すぐにきてくれました。
渡部さん「あぁ、よかった、ありがとね、でんきやさん。」
物干し竿の補修に出動したことも。
家電の用件のついでではなく、これが目的で。
渡部さん「すっかりよくなりました。ありがとうございます。」
そして、いつものように世間話を。
お茶とコーヒーをご馳走していただきました。
ありがとうございます。
家電よりも、物干しよりも、世間話が目的といえなくもありません。
もしかしたら、呼び寄せに応じず、住み慣れた土地で一人でも生活が持続できる要因の何分の一かに、まちのでんきやの存在が…。
あるかもしれません。